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研究
小児頭蓋咽頭腫33例の治療成績
著者: 田中孝幸1 小林達也1
所属機関: 1名古屋大学脳神経外科
ページ範囲:P.845 - P.850
文献購入ページに移動I.はじめに
頭蓋咽頭腫は,Rathke's pouchの遺残組織より発生し,小児に多く,病理組織学的には良性腫瘍であるが,治療に関しては現在もなお問題が多い腫瘍である.つまり,腫瘍が視床下部,視神経,ウィリス動脈輪などの重要組織と密接しており,手術は無理に全摘出せずに,亜全摘出やbiopsy程度にとどめ,その後,さらに放射線治療や化学療法をすべきであるという報告が5,20,21,23,25)みられるが,一方,全摘すれば予後もよいから,できるだけ全摘出を心がけるべきであるという報告11,24,27)もある.今回われわれは1964年より1986年末までに小児の頭蓋咽頭腫33例を経験し,最短1カ月,最長21年(平均6年間)の追跡期間を経たので,長期転帰,各治療法別の予後,放射線治療の効果,再発などをもとに,治療法の再検討を行った.
頭蓋咽頭腫は,Rathke's pouchの遺残組織より発生し,小児に多く,病理組織学的には良性腫瘍であるが,治療に関しては現在もなお問題が多い腫瘍である.つまり,腫瘍が視床下部,視神経,ウィリス動脈輪などの重要組織と密接しており,手術は無理に全摘出せずに,亜全摘出やbiopsy程度にとどめ,その後,さらに放射線治療や化学療法をすべきであるという報告が5,20,21,23,25)みられるが,一方,全摘すれば予後もよいから,できるだけ全摘出を心がけるべきであるという報告11,24,27)もある.今回われわれは1964年より1986年末までに小児の頭蓋咽頭腫33例を経験し,最短1カ月,最長21年(平均6年間)の追跡期間を経たので,長期転帰,各治療法別の予後,放射線治療の効果,再発などをもとに,治療法の再検討を行った.
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