文献詳細
文献概要
総説
脳腫瘍の細胞生物学的特性
著者: 田渕和雄1
所属機関: 1佐賀医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.919 - P.931
文献購入ページに移動脳腫瘍の特性を細胞生物学的立場から明らかにしていくことは,脳腫瘍の新しい治療法あるいは診断法の開発,さらには予防の糸口を探るうえで大変重要である.近年バイオテクノロジーの急速な進歩に伴い,脳腫瘍の病態解析の細胞生物学的手法も,より精緻で多彩となりつつある.いうまでもなく脳腫瘍はその組織形態学的,生化学的表現形および増殖能に大きな特徴がある.しかし,このような脳腫瘍の細胞生物学的特性も,究極的には個々の脳腫瘍で発現されている遺伝子の相違によるものと考えられている.したがって,どのような遺伝子が個々の脳腫瘍の特性を規定しているのかを究明していくことが,今後の研究の大きな課題になるものと思われる.そこで,本稿では脳腫瘍の表現形としての腫瘍マーカー,さらに増殖能の解析と癌遺伝子について,それらの研究の現状を概説することにする.
掲載誌情報