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研究
脳神経外科領域における微線維性コラーゲン止血剤(Avitene®)の使用経験
著者: 中村紀夫1 橋本卓雄1 坂井春男1 安江正治1 永山一郎2 佐々木富男2 馬杉則彦2 金是仁3 喜多村一孝3 吉益倫夫3
所属機関: 1東京慈恵会医科大学脳神経外科 2関東労災病院脳神経外科 3東京厚生年金病院脳神経外科
ページ範囲:P.933 - P.938
文献購入ページに移動開頭手術において,止血を確実に行うことは,術後経過を左右する重要な要因であるが,特に血管に富んだ脳腫瘍からの実質性,湧出性出血の止血はしばしば困難である.このような出血に対して,従来種々の局所止血剤が使用されてきた.現在脳神経外科領域で使用されている局所止血剤としては,ゼラチン製剤(ゼルフォーム,スポンゼル),酸化セルロース(オキシセル),トロンビン製剤(ゲラトロンビン)などで,その効果については一定の評価が与えられている.しかしこれらの局所止血剤にても,不完全な場合が稀ではなく,より確実な止血効果をもつ局所止血剤が望まれる.
1976年,米国で開発された微線維性コラーゲン止血剤(microfibrillar collagen hemostat,以下Avitene®)は,従来の局所止血剤に比較して,その優れた止血効果が報告されており1,3,8,19),諸外国の脳神経外科領域ではすでに使用されている4,12,15).本邦でも外科,整形外科,産婦人科,泌尿器科などの各科領域でその有効性が報告されている6,7,14,17,18).
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