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症例
中人脳動脈塞栓症に対する急性期塞栓除去術の経験
著者: 北見公一12 土田博美2 相馬勤2 浜島泉2 酒巻靖弘2 竹田保2
所属機関: 1市立札幌病院救急医療部 2市立札幌病院脳神経外科
ページ範囲:P.977 - P.982
文献購入ページに移動中大脳動脈閉塞症の原因としては血栓症と塞栓症があるが,血栓症に比べ塞栓症特に心由来のものは予後不良とされる1-3).原因としては側副血行の発達が十分でなく,虚血性脳浮腫が広範に出現することや,再開通に伴う出血性梗塞の頻度が高いことが挙げられる1-3).塞栓除去術は1954年Welch8)により初めて行われたが,24時間以内に行われた急性期塞栓除去術に限ると,1985年のMeyerらの報告6)以外にはまとまった数の報告は少なく,その結果も著明な改善をみたものから,術後悪化し死亡した例までさまざまである.しかし術直後より十分な血行再開が期待され,発症後早期に行ったものでは著明な症状の改善をみる場合が多い6,7)ことを考えると,適応を選んで急性期に塞栓除去術を行うことは必要と思われる.われわれは過去2年間に5例の中大脳動脈塞栓症に対して,急性期に開頭による塞栓除去術を試み,文献上の自然経過予後との比較において良好な結果を得たので,手術適応や術後の問題点などにつき考察を加え報告する.
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