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研究
慢性硬膜下血腫の術後消退に影響を及ぼす手術因子についての検討—特に血腫腔内残存空気の与える影響について
著者: 永田和哉1 浅野孝雄1 馬杉則彦2 丹後俊郎3 高倉公朋4
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター脳神経外科 2関東労災病院脳神経外科 3国立公衆衛生院疫学部 4東京大学脳神経外科
ページ範囲:P.15 - P.20
文献購入ページに移動慢性硬膜下血腫の治療法には大開頭血腫被膜除去,小開頭もしくは穿頭による血腫洗浄法,twist-drillによるclosed system drainage法などがあるが,現在もっとも普及しているのは小開頭もしくは穿頭による血腫洗浄法であろう.しかしながらその血腫洗浄法にしても,小開頭により充分な洗浄を行うべきか,それとも穿頭のみでよいか,また術後ドレーンの留置は行うべきか否か,更には残存したcavityをairが残ったままで閉頭するか生食を満たすのか,それとも内膜を一部切除して髄液との交通をつけるのかなど,いまだ検討されるべき諸問題が残されている.その理由の一つとして何れの方法でもそこそこの治療成績が挙げられるため術式の厳密な検討が充分に成されていない上に,術後の血腫腔の消退速度について充分な数量的な検討が行われていないことが挙げられる.われわれは先にコンピューターにより血腫消退速度を数学的に定量化する手法を報告し,これを用いて術前諸因子の影響を検討した結果,年齢と血腫量が消退速度に相関する一方,脳萎縮がその消退に影響を及ぼさないことを見いだした18).今回は術式やドレーン留置などといった手術因子がその消退に及ぼす影響を中心に検討を加える.即ち本論文の主たる目的は,この血腫消退速度の比較から上記の手術法を中心とした諸問題について検討を加え,よりよい手術方法を検討することである.
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