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症例
出生前胎児診断がなされた先天奇形に対する脳神経外科的対応
著者: 森本一良1 吉峰俊樹1 早川徹1 最上平太郎1 杉田長敏2 田坂慶一2 谷澤修2 末原則幸4 竹内徹4 清野佳紀3 三牧孝至3
所属機関: 1大阪大学脳神経外科 2大阪大学産婦人科 3大阪大学小児科 4大阪府立母子保健総合医療センター
ページ範囲:P.965 - P.971
文献購入ページに移動子宮内の胎児は羊水という聖域内に存在し,従来は妊娠20週を過ぎてようやく胎児心音の聴診によって胎児の生存をうかがい知ることができた.しかし近年の超音波診断技術はわれわれに多くの胎児情報をもたらすようになった.なかでも胎児の形態的異常については,新生児早期からの治療の必要性あるいは胎児期からの治療の可能性が求められるようになった.脳神経外科領域においてもこれらの異常を胎生期に予め知り対策,治療態勢を整えて出産にのぞむことにより,可及的早期に治療を行い神経脱落症状の進行阻止と合併症発生を防止できるものと考えられる.しかしこれら胎児奇形への対応は未だ完全に一致した見解はなく,関連する産婦人科と新生児科においても課題が数多い現状である.私たちは最近出生前胎児に中枢神経系奇形が診断された7症例を経験した.これらの症例の出生前診断と出生後の追加診断を検討し,出生後直ちに外科的処置が必要とされる水頭症に対する私たちの対応と若干の知見を報告する.
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