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研究
EC-ICバイパス術の血行動態モデル解析—第2報 浅側頭動脈に関する検討と内頸動脈狭窄モデルの臨床応用解析
著者: 長澤史朗13 菊池晴彦1 大槻宏和1 森竹浩三1 米川泰弘2
所属機関: 1京都大学医学部脳神経外科 2国立循環器病センター脳神経外科 3現籍 大阪府済生会中津病院脳神経外科
ページ範囲:P.125 - P.132
文献購入ページに移動第1報(前報)ではautoregulationを考慮した流体および理論解析モデルを用いて,内頸動脈狭窄症ならびにEC-ICバイパス路を設置した場合の血行動態の解析を試みた.ところでバイパス路(多くの場合浅側頭動脈:STA)それ自体の内径や長さといった形状については,従来から吻合手技上の関連で議論されてはいたが19),4,0-7,5ml/minから74-86ml/minと報告されている13,19)その開放端流量との関連で検討されることは少なかった.また一般に内径と流量とはPoiseuilleの法則に従うとされているが11),この臨床的な事象への応用には後述のようにいくつかの問題が含まれている.さらにEC—ICバイパス術の共同研究17)の結果を受け止める際に,どのような血行動態の症例に本手術が施行されてきたかの詳細な検討は重要であるが,いまだ充分になされてはいない.
本報ではSTAの形状と流量との関係を流体モデルを作製して検討した.また理論解析モデル応用の一例として,内頸動脈狭窄症例で全身血圧が低下した場合の血行動態,ならびに血圧低下時に既に設置してあったバイパス路による低灌流予防効果と,血圧を上げた場合の効果の相違について,模擬実験を行った.さらにSTA—MCA吻合術時に皮質動脈内圧とバイパス流量とを測定し,モデル実験で得られた結果と比較した.
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