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研究
特発性頸動脈海綿静脈洞瘻—脳血管写所見に基づいた治療法の選択について
著者: 水野誠12 高原衍彦1 松村浩1
所属機関: 1関西医科大学脳神経外科 2現籍 秋田県立脳血管研究センター脳神経外科
ページ範囲:P.139 - P.146
文献購入ページに移動Carotid-cavernous sinus fistula(CCF)は,その発生機転によりtraumatic CCF(TCCF)とspontaneous CCF(SCCF)に分けられる.TCCFは,内頸動脈本幹と海綿静脈洞が直接交通する‘direct shun’を有し,しかもhigh flowであるがゆえに重篤な眼症状を呈することが多い.しかしその治療法については,血管内手術法の発達に伴ってdetachable balloonを用いた瘻孔閉塞が劇的に効を奏し,現在では確立された治療法になりつつある2).
一方SCCFに対してはいまだ確立された治療法はなく,保存的療法6,7),放射線療法9),さらに症例によっては種々の栓塞物質を用いたembolization1)やballoon法2)が行われており,また最近では直達手術によって静脈洞内にoccluding spring embolusを挿入したり4)elec—trothrombosisを行った報告11)もみられる.元来SCCFはTCCFと異なりdirect shuntをもつものはむしろ少なく5,8),大部分は内頸,外頸動脈の硬膜枝と海綿静脈洞が交通(dural shunt)して起こる一種の硬膜動静脈奇形と考えられており5,8),関与する流入動脈の数と分布により種々の複雑なarteriovenous networkを形成している.
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