Neurological Surgery 脳神経外科17巻2号

1989年02月発行

症例

胸椎，腰仙椎に発生したSpinal Lipomaの1乳児例

著者： 本田英一郎¹ 林隆士¹ 宇都宮英綱² 佐藤洋介³ 橋本武夫⁴ 堀川瑞穂⁵ 徳永孝行⁶

所属機関： ¹聖マリア病院脳神経センター脳神経外科 ²聖マリア病院脳神経センター神経放射線科 ³聖マリア病院脳神経センター神経内科 ⁴聖マリア病院脳神経センター新生児科 ⁵聖マリア病院脳神経センター小児科 ⁶久留米大学脳神経外科

ページ範囲：P.171 - P.175

I．はじめに
　Spinal lipomaは1857年Johnson^14）が二分脊椎に合併した乳児例を報告したのが最初で，ついで1876年Gowers^11）が脊髄円錐部の脂肪腫を報告している．いずれも乳児の二分脊椎などの閉鎖不全症の存在下に見い出されており，脊髄脂肪腫は先天奇形との相関がある^9）．本例は胸椎と腰仙骨部に多発した脊髄脂肪腫であり，側彎症を合併していた．特に乳児例での胸椎脊髄脂肪腫の報告は数少ない．ここに貴重な1例を経験したので文献的考察を加え報告する．