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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科17巻6号

1989年06月発行

文献概要

脳腫瘍の組織診断アトラス

(5)Schwannoma,Neurilemoma(神経鞘腫)

著者: 西尾俊嗣1 福井仁士1

所属機関: 1九州大学医学部脳神経病研究施設外科

ページ範囲:P.509 - P.513

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 神経鞘腫はSchwann細胞に由来する良性腫瘍である.あらゆる年齢層に生ずるが,小児よりも成人に多く,脳神経,脊髄神経,末梢神経に発生する.主に知覚神経がおかされ,脳神経では聴神経,とくに前庭神経の内耳道付近で中枢性髄鞘のoligodendrogiiaと末梢性髄鞘のSchwann細胞が置き換わる付近から発生するといわれてきた.しかし画像診断の進歩により,末梢性髄鞘の部に相当する内耳道内に限局した腫瘍も多く見出されるようになってきた.次いで三叉神経に多く,まれにその他の脳神経からも発生する.ただし嗅神経と視神経にはSchwann細胞がないので生じない.脊髄でも知覚神経,すなわち後根に発生することが多い.頸,胸,腰,仙髄いずれにも発生し,多くは硬膜内に存在する.まれに硬膜をつきやぶり硬膜外へ発育することや,また脊髄内に発生することもある.末梢神経からの発生は,四肢,躯幹,頭頸部などの軟部の比較的深い位置,主に肘部,手首,膝部の伸展側にみられ,しばしば肉眼的に神経幹と密着している.軟部腫瘍の中では脂肪腫に次いで多く見られる.
 末梢神経から発生する本腫瘍はごくまれに悪性化するが,頭蓋内あるいは脊髄後根から発生したものはまず悪性化しない.von Recklinghausen病ではグリオーマ,髄膜腫,神経鞘腫,神経線維腫が種々の組み合わせで中枢神経および脊髄神経根に生じることがあり,互いの組織学的鑑別診断が困難なこともある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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