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研究
脳神経外科領域におけるnitroglycerinによる術後血圧管理—特に頭蓋内圧変化について
著者: 神谷健1 永井肇1 山下伸子1 三沢郁夫2
所属機関: 1名古屋市立大学脳神経外科 2名古屋市立東市民病院脳神経外科
ページ範囲:P.521 - P.524
文献購入ページに移動脳神経外科領域において,術中及び術後管理における血圧調節は,患者の予後に対して重要な要素を持っている.現在用いられている術中降圧薬としては,sodium nitroprusside, trymetha—phan,そして術後には,niphedipine等が汎用されている.nitroglycerinは,古くから冠血管拡張剤として,広く用いられてきた薬剤であるが,脳神経外科領域においては,1979年Kistlerらによって,くも膜下出血後の脳血管攣縮に対する効果を検討されて以後8)多くの報告を見ない.このni—troglycerinの持つ降圧作用は,最近特に内科領域で,狭心症などの心疾患を持つ患者のhyper—tensive crisisに対して広く安全に用いられるようになってきている.脳神経外科領域において,降圧薬特に血管拡張薬は,1975年Stullkenらが,血圧下降に伴って頭蓋内圧の上昇することを報告10)して以来,使用に際して大きな問題点を有している.過去に報告されたnitroglycerin投与後の頭蓋内圧変化の報告は,Gagnonらの報告3)を除いて,正常頭蓋内圧の症例における報告が多い.われわれは,開頭術後の頭蓋内圧上昇時における全身血圧の上昇に対して,nitroglycerin点滴静注を行い,その際の硬膜外頭蓋内圧変化を検討したので報告する.
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