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症例
小脳萎縮を伴った小脳橋角部類上皮腫の1症例
著者: 布施孝久12 高木卓爾1 大野正弘1 永井肇1
所属機関: 1名古屋市立大学脳神経外科 2現籍 公立尾陽病院脳神経外科
ページ範囲:P.673 - P.677
文献購入ページに移動頭蓋内の類上皮腫は胎生期に迷入した上皮細胞由来の腫瘍と考えられ,全脳腫瘍の1.1%を占め小脳橋角部腫瘍ではその3.0%を占める比較的稀な良性腫瘍である5).類上皮腫は腫瘍被膜の上皮細胞から脱落したコレステロールを含むkeratin debrisを内包しながら緩徐に発育するため,かなりの大きさに達するまで臨床症状が出現しない場合が多い8).
小脳橋角部の類上皮腫が症状を発現する場合には腫瘍の存在範囲にとらわれずに,いくつかの神経系とくに第V, VII, VIII脳神経や小脳,さらには視覚系にも障害を認める場合がある.また無菌性髄膜炎も発症しうることから症状は多彩なものとなり神経学的に理解しがたく,特発性三叉神経痛として放置されたり多発性硬化症などに誤診される可能性もある6).
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