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症例
急性水頭症で発症した脳内原発性悪性リンパ腫の1例
著者: 近藤威1 玉木紀彦1 長嶋達也1 穀内隆1 松本悟1 小川良一2 中尾実信2
所属機関: 1神戸大学脳神経外科 2神戸大学第三内科
ページ範囲:P.683 - P.686
文献購入ページに移動原発性頭蓋内悪性リンパ腫は,全脳腫瘍中,O.5%—1.5%前後6-8),本邦の脳腫瘍全国統計でも0.9%14)と,比較的稀とされてきた.しかし,近年の画像診断の進歩,および種々の免疫能低下状態におかれる患者が増加するに従い,その頻度は急増する傾向にある.その診断において,近年の免疫組織学の進歩にともない,単にT細胞系,B細胞系の同定のみならず,それぞれの系の中の,どの分化段階での腫瘍化かを推定できるようになりつつある.今回われわれは,急性水頭症で発症し,髄液細胞診で悪性リンパ腫と診断された1例を経験した.頭蓋内には腫瘤陰影を認めず,臨床的には脳原発性髄膜播種性悪性リンパ腫と考えられ,その免疫組織学的検査結果を含めて,若干の文献的考察と共に報告する.
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