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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科17巻9号

1989年09月発行

文献概要

研究

脳虚血再開通後に見られる遅発性神経機能障害

著者: 山形専1 菊池晴彦1 橋本研二1 南川順1 松本正人2

所属機関: 1京都大学医学部脳神経外科 2福島県立医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.821 - P.826

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I.はじめに
 脳虚血に対する脳機能の回復は脳虚血の程度とその持続時間により決定される.すなわち脳波あるいは誘発電位などの脳機能はこれらの完全消失に到らない軽度ないし中等度の虚血においてはかなり長時間の虚血に対して回復しうる.これに対しこれの反応が全く消失するような強い虚血においては回復可能な虚血時間は極端に短くなる.そしてこのような虚血においては機能の回復は虚血の持続時間と非常に良く相関すると言ってよい.これまでわれわれは猫を用いた全脳虚血モデルにおいて,脳皮質の機能は脳皮質の直接刺激による反応が全く消失するような強い虚血において5分以内の再開通では全例で,15分後では約半数でほぼ完全な回復が期待できる一方,30分以後の再開通では完全な回復が期待できないことを報告してきた12,13)
 このような脳虚血からの脳機能の回復に関する報告は散見されるが,多くの場合回復・非回復の判断は虚血再開通後6ないし8時間の短時間で行われているように思われる1,4-6,9).しかしながら,われわれのこれまでの検討の中で虚血後再開通により回復の見られていた脳皮質機能が数時間後より悪化する現象を観察し13),このような短時間での回復の判断が必ずしも正確でないことが示唆される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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