文献詳細
文献概要
研究
Dynamic CTを用いた脳腫瘍の血管透過性に関する検討
著者: 寺田友昭1 西口孝1 兵谷源八1 宮本和紀1 中村善也1 津浦光晴1 駒井則彦1
所属機関: 1和歌山県立医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.841 - P.848
文献購入ページに移動近年脳腫瘍に対する化学療法の進歩とともに,薬剤の投与方法も検討され,マニトールによるblood brainbarrier(BBB)opening therapyも行われている4,7,9,10,12).しかし,本法により,腫瘍への薬物移行が増加する反面,正常脳組織へも薬物が大量に入ってしまうという問題点もあり,その適応に関しては意見の一致を見ていない4,9,).そこで,各腫瘍組織の血管透過性を知ることができれば,本法の適応を確立し得ると考えられるが,脳腫瘍の血管透過性については,現状では実験的には調べられているものの1,17),臨床的には造影CTでその程度が推測されているに過ぎない.また,造影CTでのcontrast enhancement(CE)の機序には,血管床容積の増加と血管透過性の亢進の二つが考えられ,造影CTでは血管透過性のみを評価できない14).今回,われわれは脳腫瘍の血管床容積と血管透過性の程度をdynamic CT(DCT)を用いて検討した結果,glioma群で特徴的な所見が得られ,本法がBBB opening therapyの適応決定に役立つと考えられたので報告する.
掲載誌情報