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研究
小脳橋角部手術における術中ABRの検討—V波潜時と振幅の関係について
著者: 時村洋1 朝倉哲彦1 時村美香2 厚地政幸2 肝付兼能2 佐藤栄志2 福島孝徳3
所属機関: 1鹿児島大学脳神経外科 2厚地脳神経外科病院 3三井記念病院脳神経外科
ページ範囲:P.1023 - P.1027
文献購入ページに移動小脳橋角部手術において,手術操作による聴神経の牽引,あるいは聴神経周囲の操作で術後聴力障害を発生することは大きな問題である.この術後合併症を未然に防ぐ目的で,術中ABRモニタリングを行うことが今日では一般的となってきた.1980年,Hashimoto et al3)が初めての報告を行ってから,この問題に関して広範な検討が成されている1,2,6-11,16,17).術中ABRに異常を来たさないような手術操作が重要であるとされ,各々criticalpointが設けられている.その殆どが術中ABRV波潜時の延長に着目しているが1,2,6-11),指標とすべき潜時の延長については現在でも意見の一致を見ない可潜時の延長よりも振幅の急激な低下が重要とする報告もある16).これらのABR異常は,小脳半球の圧排により二次的に聴神経が牽引され,内耳動脈がspasmを起こす16),あるいは引き抜き損傷を起こすことによると考えられている12,13).
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