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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科18巻2号

1990年02月発行

文献概要

研究

脳血管攣縮と補体系—経時的血清補体価(CH50),補体(C3,C4)測定の意義

著者: 河野輝昭1 米川泰弘1

所属機関: 1国立循環器病センター脳神経外科

ページ範囲:P.145 - P.152

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I.はじめに
 くも膜下出血後の遅発性脳血管攣縮の発生原因については今までに多くの説が唱えられて来たが,引金となるものを問わず炎症説が最も有力であると思われる21).攣縮後の脳血管壁の組織学検討に加え,動物実験あるいは臨床例においても抗炎症剤であるibuprofen, predniso—loneが有効であったとするのもこの炎症説を裏付けるものである2).ところで,今までは血管攣縮が遅発性ということを利用して,重症度を問わず早期手術を行いくも膜下出血の除去としての脳槽ドレナージ,灌流,更にはhypervolemic-hypertension therapyがなされてきた.
 特に術前CTでFisherのgroup 3のものは高頻度に血管攣縮が起こるとされ積極的な抗攣縮対策がなされている.しかしながら術前のCTで術後血管攣縮は必発であろうと予想されたものでも案外軽く経過したり,逆に予想以上に攣縮の程度が強い症例もあるのが現状である.CT導入以来術後血管撮影がなされることは稀になり,血管攣縮が起こっているか否かは臨床症状(不穏状態,神経学的巣症状の出現など)で捉えられるが,攣縮の程度を判定する客観的な手段が無かったと言える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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