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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科18巻3号

1990年03月発行

文献概要

研究

インプラントヒーティングシステム(IHS)を用いた悪性脳腫瘍の組織内温熱療法

著者: 小林達也1 木田義久2 松井正顕3 雨宮好文4

所属機関: 1名古屋大学脳神経外科 2小牧市民病院脳神経外科 3名古屋大学工学部材料機能工学科 4千葉工業大学電気科

ページ範囲:P.247 - P.252

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I.緒言
 悪性脳腫瘍に対して近年,温熱療法は,手術,放射線,化学,免疫療法に次ぐ第5の療法として登場して以来,各種臓器癌にその有効性が認められつつある.しかし脳腫瘍に対する温熱療法はまだその方法も確立していないし,その治療効果も一定していない.その理由として,脳の局所を確実に,しかも安全に加温する方法がないことと,脳が極めて分化した特殊な機能を有しているために手技上の制限があることなどである.従って,脳腫瘍の温熱療法を行うにあたって,最も重要なことは,厳密に脳腫瘍組織のみを加温し,周囲の正常脳,神経,血管等を加温しないことが,絶対条件となる.その他,異物を挿入するための感染,出血等も考慮されなければならない.現在他臓器癌で最も普及しているmicrowave,RF波による局所加温は,脳の場合頭蓋骨に妨害され,脳内に限局性の高温巣を作ることは,極めて困難である.従って,温熱療法のために頭蓋骨を切除したり10,11),頭蓋骨骨窓よりアンテナを腫瘍内に挿入して局所加温を行う方法が試みられているが6,8,9),いずれも上記条件を満たすものではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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