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症例
胸髄髄内に発生したHemangiopericytomaの1症例
著者: 氏家弘1 久保長生12 清水俊彦1 河村弘庸1 加川瑞夫1 大澤美貴雄2 丸山勝一2
所属機関: 1東京女子医科大学神経センター脳外科 2東京女子医科大学脳神経センター神経内科 3東京女子医大脳神経外科
ページ範囲:P.273 - P.277
文献購入ページに移動Hemangiopericytomaは,1942年StoutとMurray28)が最初に記載した稀な腫瘍であり,正常の内皮細胞を有した多数の毛細血管とその周囲にpericyteといわれる独特の細長い細胞が血管腔を囲んで厚く増殖する病理像を特微としている.従ってpericyteから発生するhemangiopericytomaは,毛細血管の存在する部であればいずれの部位からでも発生し得る.好発部位は皮下軟部組織及び骨格筋系であり,下肢に1/3が発生する1,7).頭蓋内に発生したhemangiopericytomaは数例の報告12,14-16,18)を除くと,すべてが髄膜より発生しており,その病理像はhemangiopericytic menigiomaと酷似しており鑑別は極めて難しく,ときに同一疾患とも考えられる.
今回,われわれは胸髄髄内に発生したhemangioperi—cytomaを経験した.われわれの渉猟し得た限りでは最初の報告例と思われるので,本症例の臨床病理像及び髄内hemangiopericytomaに必要な鑑別診断について文献的考察を行った.
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