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悪性グリオーマに対する自家骨髄移植を併用した大量化学療法—骨髄造血因子(CSF)を用いた援護療法
著者: 山下純宏1 川村哲朗1 正印克夫1
所属機関: 1金沢大学脳神経外科
ページ範囲:P.329 - P.338
文献購入ページに移動悪性グリオーマは,外科的治療,放射線治療および化学療法を併用した集学的治療法を行っても,その長期的治療成績は極めて悪いのが現状である.病理学的に壊死巣を伴うのを特徴とするglioblastom multiformeでは,生存期間の中央値すなわちmedian survival time(MST)は8カ月であり,anaplastic astrocytomaでは,27カ月である9,38).わが国の統計では,glioblastomamultiformeの診断確定後のMSTはおよそ12カ月であり,治療5年後の生存率は10%以下である40,69).
グリオーマに対する外科的治療に関しては,その手術手技は既にほぼ確立されているといえる.放射線療法の分野では,現在用いられている標準的な外照射には一定の評価が与えられているが,その効果には限界がある60).
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