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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科18巻8号

1990年08月発行

文献概要

研究

Wallenberg症候群の原因としての椎骨動脈解離性動脈瘤

著者: 奥地一夫1 渡部安晴1 平松謙一郎1 多田隆興1 榊寿右1 京井喜久男1 内海庄三郎1 鎌田喜太郎2 大西英之3 下村隆英4

所属機関: 1奈良県立医科大学脳神経外科 2大阪警察病院脳神経外科 3国立大阪病院脳神経外科 4清恵会病院脳神経外科

ページ範囲:P.721 - P.727

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I.はじめに
 1895年,Wallenbergは急性の球麻痺と交代性知覚障害にて発症した38歳の男性の症例報告において,その神経学的症状が後下小脳動脈(以下PICA)の閉塞により生じたと推定し21),6年後死亡した同症例の剖検所見から,予測どおりPICA閉塞によるものであることを証明し追加報告した22).その約半世紀後の1961年,Fisherらは18例のWallenberg症候群の剖検結果より,PICAの閉塞が原因となることは少なく,むしろ椎骨動脈の閉塞に起因するものが多いことを指摘した4).以来,Wallenberg症候群は椎骨動脈またはPICAの閉塞により発症すると考えられるようになり,一般にその血管閉塞は動脈硬化にもとづくものが多いとされてきた9)が,実際上,発症機序に関して詳細に検索した報告は極めて少ない.われわれは虚血病態であるにもかかわらず,Wallenberg症候群の発症時に多くの患者が訴える激しい頭痛に注目し,この頭痛が最近報告が増えつつある解離性動脈瘤による血管壁の障害に起因するもではないかと考え今回の検討を行った.われわれの経験したWallenberg症候群22例の臨床像および血管撮影所見を分析し,その結果に文献的考察を加え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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