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症例
Microvascular Decompressionが奏功した小児期発症の片側顔面痙攣
著者: 岡田順1 影治照喜1 本藤秀樹1 松本圭蔵1 蔭山武文2
所属機関: 1徳島大学脳神経外科 2徳島県立三好病院脳神経外科
ページ範囲:P.53 - P.57
文献購入ページに移動特発性の片側顔面痙攣の治療は,顔面神経の起始部,いわゆるexit zoneでの圧迫血管(offending vessel)を移動させ,これによる神経圧迫を除く手術がGardnerら5)により試みられ,Jannettaらによりmicrovascular de—compression(以下MVDと略)として確立6)されて以来,近年盛んに行われ成果をあげている.
片側顔面痙攣の好発年齢はほとんど成人で福島の統計4)によれば40-60歳にピークがある.14歳以下の小児期に発症した特発性の例はわれわれの渉猟しえた限りではこれまで僅か5例を数えるのみであった7,11,14,16).そのうちMVDが行われ,治癒し得たとする例はJho,Jannettaらによる2例のみであった7).ここに報告するわれわれの経験した症例は,12歳時に右片側顔面痙攣が発症し,軽快傾向をみなかったので,16歳時にMVDを行い顔面痙攣の完全消失をみた。この症例を報告するとともに,小児及び若年例の病因などについても若干の考察を加えたい.
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