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研究
末梢性後下小脳動脈瘤(Distal PICA Aneurysm)—自験例10例からの検討
著者: 西野晶子1 桜井芳明1 佐藤博雄1 新妻博1 嘉山孝正2 小川彰2 大藤高志3
所属機関: 1国立仙台病院脳卒中センター脳神経外科 2東北大学脳研脳神経外科 3国立仙台病院病理
ページ範囲:P.925 - P.932
文献購入ページに移動後下小脳動脈瘤(PICA AN)は全脳動脈瘤中の0.5—3%12, 13, 21)を占め,比較的稀な動脈瘤である.更にその大部分は椎骨動脈・後下小脳動脈分岐部動脈瘤(VA—PICA AN)であり,その末梢に生じたいわゆる末梢性後下小脳動脈瘤(distal PICA AN)はさらに稀で,全PICA ANの15-30%12,13)を占めるに過ぎない.しかし,頭蓋内脳主幹動脈の末梢に生ずる非細菌性・非外傷性の末梢性脳動脈瘤の中では,distal PICA ANの占める割合は高く7),本動脈の末梢部位はいわゆる末梢性動脈瘤の好発部位とも言える.
一方,発症24時間以内に死亡する,いわゆる“突然死”例の中では,くも膜下出血症例が多く20),その中でも後頭蓋窩動脈瘤患者の占める率が高く24),distalPICA ANに於いても,同様の報告が見られる13).今回,自験例を基に,その臨床像,治療法及びその結果を検討し,諸所見より推察される本部位動脈瘤のpatho—genesisについて考察を加え報告する.
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