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研究
重症頭部外傷における周波数解析を用いた脳波モニターの有用性—特に患者予後との関連から—
著者: 山上岩男1 中村道夫1 烏谷博英1 須田純夫1 小野純一1 礒部勝見1
所属機関: 1君津中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.939 - P.944
文献購入ページに移動CTの出現以後,神経学的検査や血管撮影にのみ頼っていたそれまでと異なり,頭部外傷の診断・治療は飛躍的変貌を遂げ,現在CTは,重症頭部外傷の予後判定に関しても最も有効・不可欠な検査法となっている.しかし,神経学的検査およびCTを中心とした形態学的検査結果と重症頭部外傷の転帰が一致しないこともしばしば経験される.一方,CTの出現により,脳波は頭部外傷急性期において利用される機会が減少したが,脳の機能的側面を捕らえる点で,脳波は最も容易で,安全な検査法である,さらに,コンピューターを利用した周波数解析の出現は,脳波を定量・客観化することにより,脳波の長時間モニターを可能にした.重症頭部外傷における脳損傷は,局所的にとどまることはごく稀であり,広範に損傷された脳機能を時々刻々変化していく統合体として捕えていくことが,重症頭部外傷患者の管理上重要と考えられ,この点から,周波数解析を用いた脳波の長時間モニターは,有効であろうと考えられる.
今回われわれは,重症頭部外傷患者において,周波数解析を用いた脳波の長時間モニターを経時的に行い,患者の予後判定の上で,いかに有用であるかを検討した.
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