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研究
未破裂脳動脈瘤の外科治療における問題点
著者: 波出石弘1 安井信之1 鈴木明文1
所属機関: 1秋田県立脳血管研究センター脳神経外科
ページ範囲:P.945 - P.949
文献購入ページに移動近年脳血管障害に対する診断技術の向上と普及に伴い,日常臨床で未破裂脳動脈瘤を治療する機会は増える傾向にある.この未破裂脳動脈瘤に対しては,破裂予防を目的に根治術を念頭においた外科治療が優先する治療であるが,術後神経症状の出現または悪化する症例が稀ならず存在することも事実である9,11,17,20).われわれも術中脳圧排や穿通枝を含む動静脈に充分注意して処置したにもかかわらず,術後一過性の麻痺や失見当識などが出現した症例を経験している.術者にとってはいわゆる“罪の意識のない”これら術後悪化例では,通常問題とならない程度の軽微な手術侵襲が神経症状の悪化を引き起こすと考えられ,術前に脳組織の脆弱性または可逆性を知ることは手術適応を決定するうえで重要な問題といえる.
今回われわれは未破裂脳動脈瘤患者の外科治療にあたり問題となる危険因子について,主に脳循環の立場から検討を加えたので報告する.
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