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研究
Microprolactinomaの長期手術成績
著者: 広畑泰三1 魚住徹1 向田一敏1 有田和徳1 栗栖薫1 矢野隆1 武智昭彦1 恩田純1
所属機関: 1広島大学脳神経外科
ページ範囲:P.951 - P.956
文献購入ページに移動プロラクチン産生下垂体微小腺腫(microprolacti—noma)に対する経蝶形骨洞手術は,すぐれた治療効果をもたらすことが報告されている1-5).しかし,これまでの報告は,術後血中プロラクチン(PRL)値の正常化率を中心にして手術成績を検討したものが多く,治療目的である術後の月経回復や妊娠分娩の達成についての長期追跡による検討は少ない.また,術後血中PRL値の正常化が患者にいかなる転帰をもたらすのか明らかにされていない.そのため,脳外科医として,患者を紹介する側である産婦人科医の信頼に充分に応えていないのが現状であると思われる,microprolactinomaに対する経蝶形骨洞手術は,言わば機能的手術として位置付けられるべきものであり,治療目的である月経の回復を望むためには,高PRL血症の是正はもとより下垂体前葉機能の温存が極めて重要となる.そこで今回著者らは,術後の追跡調査結果をもとに,手術療法の最大の利点である治療の根治性を中心として術後の下垂体前葉機能の状態を含めて手術成績を検討したので報告する.
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