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研究
高齢者の頸部脊髄症に対する前方除圧術
著者: 平井収12 近藤明悳12 青山育弘12 任清3
所属機関: 1北野病院脳神経外科 2京都大学脳神経外科 3大阪市立大学脳神経外科
ページ範囲:P.1017 - P.1023
文献購入ページに移動頸椎椎間板ヘルニアや頸椎骨軟骨症による頸部脊髄症は,頸椎およびその支持組織の慢性退行性変性に起因することから,一般に加齢と共に頻度が増加するといわれている9).したがって近年の高齢化社会では,神経外科領域における本症の意義は益々重要になるものと予想される.
頸部脊髄症は概して慢性的な経過をとるだけに12),特に高齢者では保存的治療の対象とみなされがちである.非手術例でも進行性に症状が悪化することは少ないかわり,保存的治療による機能予後は決して満足すべきものではなく12,21),特に高齢者では不良であることが指摘されている16).以上より,われわれは保存的治療を行っても改善を認めないものについては積極的に手術を行う姿勢をとってきた.また脊椎管狭窄があっても,直接脊髄を圧迫しているのは逸脱した椎間板や変性した椎体であり,手術の主目的はあくまでもこれらを除去することと不安定頸椎の矯正であるという立場より,全例に前方除圧および固定を行った.
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