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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科19巻11号

1991年11月発行

文献概要

研究

ヒトの大脳皮質下刺激による視覚現象(phosphene)について

著者: 平孝臣12

所属機関: 1バーミンガム大学脳神経外科 2東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科

ページ範囲:P.1025 - P.1031

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I.はじめに
 ヒトの視覚路や後頭葉視覚野を電気刺激した場合phospheneと呼ばれる視覚現象が観察される場合がある,Phospheneという言葉は一般にはなじみが薄いが,光以外の刺激によって出現する客観的視覚と定義され,眼球を圧迫した場合に網膜が機械的に刺激されて生じる光覚や,頭部を強打した場合に経験される閃光などをも含む概念である.この現象は主に後頭葉視皮質の刺激によって研究され2,3,6,10,16),この応用で盲人の視覚を人工的に取り戻す試みもみられる6,7,11).しかし視皮質刺激による人工視覚にはキンドリングや慣れの問題があり,皮質下の視覚路を刺激する可能性が示唆されている11)が,脳内を刺激した場合の視覚現象に関する報告は少ない.Buttonら4)は3症例で後頭葉内に挿入した電極を刺激し全例でphospheneが見られたと報告している.Nashold14)は上丘刺激でphospheneが誘発されることを報告し,Uematsuら22)は視皮質と視放線を刺激し両者でphospheneを認めたが前者の方がより容易に誘発されたとしている.Taskerら21)は視床や中脳の刺激によっても視覚現象が生じるが,皮質刺激の場合と異なり視野が暗くなったりぼやけたりすることが多いと述べている.このように皮質下刺激でも視覚現象が誘発されるが,刺激部位とphospheneの性状との関係についての報告はない.筆者らは定位脳手術中に後頭葉の脳内を中心に刺激を行い,刺激部位とphospheneの出現部位,色,形などの関係を検討し興味ある現象を認めたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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