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研究
一時的脳虚血における脳のReversibilityに関する研究—脳血管反応性と組織学的変化から
著者: 石田泰史1 榊寿右1 笹岡保典1 西谷昌也1 辻本正三郎1
所属機関: 1奈良県立医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1039 - P.1046
文献購入ページに移動Microncurosurgeryの発達やintravascular surgeryの普及により手術中に脳への血流を一時的に遮断する操作(temporary clipping)を行う機会2,3)が増加しているが,その際にいかなる時間でいかなる障害が生じるのかを知ることはきわめて大切である.一方,脳動脈閉塞症の急性期の血行再建に対して,積極的に肯定する意見1)と,反対に脳浮腫の助長や出血性梗塞の誘因になるとの理由で否定的な意見8,9)があり,その適応のcriteriaすら確立されていないのが現状である.こうした現況の中で,脳虚血後の脳梗塞の程度や脳浮腫の程度についての実験的報告は多数見られる12,19)が,虚血部位の脳軟膜微小血管の虚血に対する反応性に着目し,骨窓(以下cranialwindow)から直接血管を経時的に観察し,血管反応性の変化から脳組織のreversibilityとの関係について検討を加えた論文はない.脳血管反応性とは,元来CO2に対する反応性(CO2 response)と血圧に対する反応性(autoregulation)の両者を意味し,脳の環境を如実に反映するものである.今回われわれは虚血時間を様々に変えながら,再灌流により変化する脳表血管をcranialwindowから直接観察し,ICPの変化・BBBの障害・病理学的変化との相関関係を考慮しながら神経組織のreversibilityについて考察を加えた.
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