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研究
Alpha−1-antitrypsinを用いた神経膠腫の悪性度の検討
著者: 池山幸英12 織田哲至1 西崎隆文1 青木秀夫1 伊藤治英1
所属機関: 1山口大学脳神経外科 2宇部興産中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.1047 - P.1051
文献購入ページに移動ヒト神経膠腫に対して免疫組織学的面からその悪性度を検討し,その予後を推測する試みは多い.しかしながら,中間径フィラメントであるglial fibrillary acidicprotein(GFAP),vimentin,あるいはastrocyteのマーカーであるS−100 protein(S−100)を用いた検討は,結果は一定せず十分とはいえない.一方では,モノクローナル抗体であるbromodeoxyuridine(BUdR),Ki—67, DNA polymerase α等を用い,cell kineticsからみた悪性度の評価も試みられており7,14,15)これらは良好な成績を得ているが,簡便さの点でやや難がある.同じくcell kineticsの面から,より簡便な方法として,嗜銀染色を利用したNucleolar Organizer Regionsによる悪性度の評価も試みられている16).
しかしこれらとは別に,ヒト神経膠腫に於いて浸潤度の面から悪性度を評価することは重要と思われる.このため今回われわれは,新たなマーカーとして生体のproteinase inhibitorの一つであるalpha-1-antitrypsin(α-AT)を用いて免疫染色を行い,組織学的悪性度及び予後との関連性について検討した.更に,GFAP, vimen-tin,及びS-100についても再検討を試みた.7例については,BUdR染色を施行し,併せて検討した.
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