icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科19巻5号

1991年05月発行

文献概要

研究

脳腫瘍組織診断におけるProton Magnetic Resonance Spectroscopyの有用性に関する研究

著者: 吉田雄樹1 吉岡芳親1

所属機関: 1岩手医科大学生理学第二講座

ページ範囲:P.421 - P.427

文献購入ページに移動
I.はじめに
 核磁気共鳴スペクトロスコピー[nuclear magneticresonance(NMR)spectroscopy:MRS]は,近年医学分野において盛んに利用されるようになり,脳神経領域でも脳虚血,低酸素症,低血糖等のいろいろな生理的条件下での脳代謝に関する研究2,3,15)がなされている.また正常脳組織のみならず,脳腫瘍に関しても,高エネルギーリン酸化合物,リン酸モノエステルに注目したリン31原子核磁気共鳴スペクトロスコピー(31P-MRS)9,13,17)や,低分子有機化合物に注目した水素原子核磁気共鳴スペクトロスコピー(1H-MRS)4,7,19)を用いての研究がなされている.病理組織診断の点から見ると,31P-MRSでは正常脳組織と腫瘍組織との違いがわかる程度にしか分類できておらず,組織型とMRSパターンとの相関は未だ十分ではない.一方1H-MRSでは対象となる代謝物質が多いことから,腫瘍組織型との相関についてかなり詳しく研究されるようになって来ているが,スペクトルの分解能及び感度が必ずしも十分とは言えず,そのために詳細な分析が出来るには至っていない.そこで今回われわれは1H-MRSを用い,摘出した脳腫瘍組織を抽出処理することによりスペクトルの分解能と感度を高め,スペクトルパターンと各腫瘍の病理組織型との相関,更に脳腫瘍の鑑別診断における1H-MRSの有用性についても加えて検討を行ったのでここに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら