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脳腫瘍の組織診断アトラス
(17)Subependymal Giant Cell Astrocytoma
著者: 田淵和雄
所属機関: 1佐賀医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.603 - P.609
文献購入ページに移動 I.名称・発生部位・頻度 母斑症(phacomnatosis)の一つである結節性硬化症(tuberous sclerosis)では,中枢神経系の特徴的病変として,大脳皮質の結節(corrtical tuber)と脳室内に隆起した脳室上衣下結節(subependymal tuber)があり,一般に後者が上衣下巨細胞性星膠腫(subependymal giant cellastrocytoma,SGCA)と呼称されている脳腫瘍である13).しかし結節性硬化症を伴わないSGCAも稀ではない2,13,14).通常,SGCAは側脳室壁,特に側脳室と第三脳室をつなぐモンロー孔近傍に好発し,脳室内に向かって緩やかに増大するが,しばしばモンロー孔を閉塞し,水頭症をもたらす.結節性硬化症の頻度は人口10万人当たり3-4人で,家族性例は14-15%と孤発性例が大部分を占める9,16).SGCAの発生率は結節性硬化症患者の3.4%から17%と報告者によって差があるものの3,8),比較的稀な疾患といえる。
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