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症例
原発性甲状腺機能低下症に合併した下垂体腺腫と過形成
著者: 高橋禎彦1 上垣正巳1 重森稔2 吉村恭幸1 落合智2 稲田千鶴子3
所属機関: 1社会保険田川病院脳神経外科 2久留米大学脳神経外科 3社会保険田川病院内科
ページ範囲:P.741 - P.745
文献購入ページに移動原発性甲状腺機能低下症に下垂体腫瘤が合併することはよく知られている.Yamadaら18)はX線学的に計測して約80%の症例でトルコ鞍の拡大を認めるとし,その大きさは血中のT4,T3値に反比例しTSH値にほぼ比例すると報告している.その治療方針として,甲状腺ホルモンの補充療法下に下垂体腫瘤の経過観察を行うことが一般的である.
今回,われわれは高プロラクチン血症を呈しCT上にてトルコ鞍内から鞍上部にかけて均一に増強されるmassを認めた症例を経験した.下垂体腺腫の診断のもとに,経蝶形骨洞的に腫瘍摘出術を行った.しかし術後に原発性甲状腺機能低下症が判明し,ホルモン補充療法を行った.本例の術中所見及び組織学的所見よりpitui—tary adenomaとhyperplasiaが共存した症例と考えられたのでここに報告する.
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