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研究
副腎髄質細胞と末梢神経のcograftによるパーキンソン病治療の試み—宿主側の年齢要因について
著者: 伊達勲1 浅利正二1 西本詮1
所属機関: 1岡山大学脳神経外科 2ロチェスター大学神経生物学
ページ範囲:P.811 - P.815
文献購入ページに移動1985年,Backlundらが世界で初めてパーキンソン病患者に対する自己副腎髄質移植を報告1)して以来,現在まで200例をこえる同手術が世界中で施行されている16).その効果については一定でなく,副腎摘出に伴うmorbidityもかなりの例でみられる9)ことが報告されている.さらに,剖検例においては移植した副腎髄質クロマフィン細胞の生着がほとんどみられていない11,20).副腎髄質には,ガングリオシド,fibroblast growth factorなどのトロフィック因子が含まれている3,15)ことを考えると,移植副腎髄質細胞の生着率の向上をはかることが宿主の内因性黒質線条体ドーパミン系の回復を促進するにも重要であると思われる.本研究では,1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)を用いて作成したマウスパーキンソン病モデルに対し,nervegrowth factor(NGF)の源である末梢神経10,23)を副腎髄質とcograftし,クロマフィン細胞の生着率の向上をはかるとともに,その生着率の向上が宿主の内因性ドーパミン系線維の回復にどう影響するかを特に宿主の年齢の面から検討した.
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