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記憶物質
著者: 永田豊1
所属機関: 1慶応義塾大学生理学教室
ページ範囲:P.23 - P.27
文献購入ページに移動学習や記憶の能力は人類においてもっとも高度に発達している過程であって,人類に一番近い霊長類よりもきわだってすぐれており,これが人間と他の動物と区別する重要な点の1つにあげられているほどである.このように学習・記憶の現象は人間にとって非常に重要なものであるといわれながらも,従来この方面の研究は主として心理学や精神医学の立場などから抽象的に取扱われてきた.しかし最近20年来この記憶の問題をもより生物学的基盤にたって実験的に研究してゆこうとする勇敢な人々が挑戦を始めて,諸外国では"記憶の神経化学"に関するシンポジウムがしばしば開かれ多くの研究者たちの強い関心を集めている.そしてこれらの発表は数多くの総説や書物1-7)にまとめられて出版されており,今や流行の課題の一つになりつつある.
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