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研究
頭蓋内圧充進時における脳血流障害の研究(第2報)—傍矢状,静脈血流路の圧勾配について
著者: 中川翼1 都留美都雄1 矢田賢三2
所属機関: 1北海道大学脳神経外科 2北里大学脳神経外科
ページ範囲:P.39 - P.45
文献購入ページに移動各種の頭蓋内病変により,頭蓋内圧がある程度以上になると,脳血流量の減少する事は既に良く知られた事実である.しかしながら頭蓋内圧亢進時,どのような機序で脳血流量の減少が引き起こされるのか,或は脳血流量の減少を引き起こす原因は,頭蓋内血流路のどの部分に存在するのか,といった問題については近年迄充分に解明されていなかった.
この問題に関して著者ら6,7,14)は,成犬を用い,傍矢状部の外径0.6-1.5mmの脳表静脈内圧を頭蓋内圧亢進下で測定し,脳表静脈内圧が頭蓋内圧よりほぼ50-200mmH2O高い事を知った.また,頭蓋内静脈路,特にbridging veinと上矢状静脈洞の間の静脈路であるlateral lacuna of superior sagittal sinusの壁に強度について検討した結果,この部分は,頭蓋内圧の亢進と共に徐徐に圧縮され内腔が狭窄する事を証明した.この2つの実験結果より,頭蓋内圧亢進時狭窄をおこし,血流をうっ帯させるのは,lateral lacunaの部分である事を指摘した.また,lacunaが上矢状静脈洞に移行する部分は,lacunaの内圧と外圧の差が最も大きいはずであるので,この部で狭窄が生じると推定した.
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