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症例
クモ膜下出血で発症した脳硬膜動静脈奇形の1例
著者: 藤津和彦1 小田正治1 桑原武夫1
所属機関: 1国立横浜病院脳神経外科
ページ範囲:P.75 - P.79
文献購入ページに移動脳硬膜動静脈奇形は非常にまれなものであり,Dural Arteriovenous Malformation7,8,12),Congenital Dural Arteriovenous Fistula2,10),Dural Arteriovenous Aneurysm13)などの名称で報告が散在するにすぎない,最近Newton7)が16例をまとめて報告し,彼はこの疾患が後頭蓋窩に好発するのでDural Arteriovenous Malformation in the Posterior Fossaと呼んでいる.Nicola8),Wijngaarden13)なども同じような名称を用いており,この疾患は後頭蓋窩硬膜動静脈奇形として独立した疾患と認められつつある.但しこれらの名称はあくまでも脳血管撮影上の名称であり,病理学的検索を提示した報告は見当らない.われわれの症例においても病理学的にはいわゆる脳動静脈奇形とは異った組織像を示しているが,一応今までの報告にならって脳硬膜動静脈奇形と呼ぶことにする.
次に,本症は往々にして脳内動静脈奇形を合併し,そのためクモ膜下出血を生じることがあるが,本症が硬膜に限局している場合にクモ膜下出血を生じることはきわめてまれであり,その報告は見当らない.
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