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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科2巻10号

1974年10月発行

文献概要

総説

脳腫瘍の生化学—脳腫瘍蛋白質と免疫反応

著者: 高倉公朋1

所属機関: 1国立がんセンター脳神経外科

ページ範囲:P.655 - P.661

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Ⅰ.はじめに
 脳腫瘍の生化学的研究はきわめて広範囲にわたっている,腫瘍の特性としての嫌気性エネルギー代謝16)や,脳組織がコレステロールをはじめとする脂質に富んでいることから,脂質代謝に関連した一連の研究11,40,44)がある.酵素学的な面から見ても,LDHやaldolaseのisozymeの分析は単に診断的価値のほかに腫瘍の分化,脱分化の謎を解く鍵を持ち30,31),lysosomal enzymeの分析は腫瘍化や腫瘍細胞の分裂,崩壊の問題を提起している1)
 一方脳腫瘍蛋白質合成の課程を明らかにすることは,各種制癌剤の作用機序とも関連して有効な化学療法を行う上で重要である34).しかしこれらの研究成果を網羅することは不可能なので,ここでは脳腫瘍特異蛋白質に関する研究をふりかえって眺め,生体が自已防衛の機能を発揮して,これら特異蛋白質をどのように認識して腫瘍細胞を破壊していくのか,その道筋をたどって見たい.脳腫瘍の免疫学的治療を考える場合にとかく細胞性免疫に重点がおかれがちであることから,あらためて液性免疫(humoral immunity)の重要性について考察してみよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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