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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科2巻10号

1974年10月発行

文献概要

境界領域

Gasmyelography

著者: 小林直紀1

所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター神経放射科

ページ範囲:P.669 - P.673

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Ⅰ.はじめに
 Gasmyelographyは1919年Dandyによってその可能性が述べられており,Jacobeau(1921)やDandy(1925)が臨床例を報告して以来,脊髄およびそれをとりまく周囲の疾患のX線診断法として広く用いられて来ている.しかし,Sicard(1922)やRamsey(1944)らによる油溶性造影剤の開発導入によってこれ等が好んで用いられるようになり,特に我国においては脊髄撮影と言えば油溶性造影剤によるものを指すのが一般的のようである.このことは脳室脳槽撮影における造影剤が気体と油溶性造影剤(現在は水溶性造影剤も一般に用いられている)とによって目的を異にしている検査体系とは幾分趣が違うようである.油溶性造影剤の導入によってそれ迄の気体による撮影では得られなかった鮮明な像を得ることが出来るようになり,椎弓や肋骨その他の椎管周囲の構造の陰影との重なりが読影上さほど障害とならなくなった為と思われる.しかしヨード油のクモ膜下腔への注入による障害は無視されるべきものではない.Gasmyelographyでは造影剤そのものによる障害は全く無いといって良く,X線撮影装置の発達した今日,椎管内の全貌を知る上でも,疾患周辺の状況の把握の上でもGasmyelographyが秀れていると考えられる面が多く,本邦においてもさらに広く用いられて良い検査法であると考え,著者らが現在東京女子医大脳神経センター神経放射線科で行なっている方法を中心にその利点を紹介し2,3の問題点について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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