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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科2巻11号

1974年12月発行

文献概要

手術手技

高血圧性脳出血の手術

著者: 金谷春之1 斉木巌1

所属機関: 1岩手医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.735 - P.740

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Ⅰ.はしがき
 高血圧性脳出血は発作直後から,急速に重態に陥り,死に至る症例が多い.このため本症の手術は緊急手術の性格を有する関係上,手術侵襲の軽減と手術時問の短縮に意を用いるべきは当然であろう.これは,従来の文献からみても,脳室穿刺—減圧,小穿孔—血腫吸引(部分剔除)の姑息的手術から,開頭—血腫剔除(全剔除)の根治的手術に至る2,3の方法が行なわれたことからも窺われよう.
 即ち,比較的多くの外科症例を有する報告として,Browderら3)は,脳室カニューレによる血腫吸引は,73%の死亡率であり,この方法では凝血を除去しえなかったので,姑息的な処置以外は行なわなかった.その後,皮質切開による血腫全剔除では31%の死亡率であり,このことより,血腫の全剔が最良の方法であるとの見解を示している.このような小穿孔—血腫吸引に関しては,その経験症例から,Howell5)は開頭による血腫全剔除よりも危険であるとし,Scott18)も単なる流動性血液の吸引では不充分で,生存した患者には流動性血液,凝血を剔除する必要があったとし,Asenjo2)らも,一般に小穿孔—血液吸引,或いは血腫の直接吸引は成功しなかったので行なわないと述べている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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