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症例
天幕切痕部腫瘍—天幕上下にわたるdumbbell型腫瘍の2症例
著者: 尾藤昭二1 榊三郎1 郷間徹1 魚住徹2 松岡健三3
所属機関: 1大阪厚生年金病院脳神経外科 2大阪大学脳神経外科 3大阪大学第1外科
ページ範囲:P.771 - P.777
文献購入ページに移動天幕切痕部腫瘍は比較的まれなものであるが,腫瘍がextra-axialにあるので外科的摘出が可能であることが多い.当領域腫瘍のX線診断については既にCastellano3),Taveras9),Zingesser12)等のすぐれた研究があるが,その解剖学的位置関係が複雑なため,なおX線診断が困難であることが少なくない.殊に脳幹部のintra-axial腫瘍との鑑別が問題である.
従来,当該部腫瘍は脳幹部に対する位置関係からanterior, posteriorおよびlateral typeに大別された9).posteriorおよびlateral typeのうちには天幕の上下にわたる(dumbbell type腫瘍のあることは知られており,文献上報告例の大多数がmeningioma1,3,7,8,9,12)で,一部がneurinomaであった.Carrefour falcotentorial meningioma3)より引用の多くは天幕上下にわたるもので,Cushing, Eisenhardtの言葉を借りれば meningioma perforating of the tentoriumであった.かくの如く当該部に発生した腫瘍としてmeningiomaは古くから知られているが,meningiomaあるいはneurinoma以外の腫瘍については,調べた範囲においてその報告はみられず,まれなもののようである.
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