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研究
脊髄動静脈奇形の診断と形態学的分類および外科的治療に関する検討
著者: 中多靖彦1 大島英雄1 岡本学1 京井喜久男1 内海庄三郎1 堀浩1
所属機関: 1奈良県立医科大学第2外科
ページ範囲:P.229 - P.237
文献購入ページに移動近年動静脈奇形,とくに脳動静脈奇形の報告は多い.しかし脊髄動静脈奇形に関しては1885年Heboldが報告して以来12),欧米では数多くの症例報告がなされている.本邦では症例数も少なく,手術例に関しての報告は極めて少数である.その第1の理由として,臨床的特徴が知覚障害,根刺激症状,局所に限局する疹痛,運動障害などが主で臨床的に腰痛症,椎間板ヘルニア,変形性脊椎症などと類似していること.第2に補助的診断技術が進歩していなかったこと,とくにspinal angiographyなど4,5,10)の形態学的診断技術がいまだ確立されるにいたらなかったこと.第3に外科的治療,とくにその技術的困難さが解決されていなかったことなどが挙げられる.
我々は昭和42年以来4例の脊髄動静脈奇形(以下spinal AVMと賂す)を経験した.ここに症例を提示しSpinal AVMの診断基準,手術適応,ならびに手術方法に若干の考察を加えるとともに,予後の判定についても論じたいとおもう.
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