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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科2巻5号

1974年05月発行

文献概要

手術手技

脊髄髄外腫瘍の手術手技

著者: 森和夫1

所属機関: 1長崎大学脳神経外科

ページ範囲:P.365 - P.369

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Ⅰ.術前の準備
 ミエログラフィーが診断の最後の決め手であるが,他の補助検査所見,臨床神経学的所見とも照し合せて腫瘍の高位と拡がり,横断位をハッキリさせ,手術侵襲範囲を確認しておく.殊に造影剤の停留高位が神経学的所見と一致しない場合の影像の意味づけには慎重を要する.神経学的所見による高位診断に当つては髄節高位とその髄節に所属する神経根の硬膜貫通高位及び脊椎管走出高位との問に夫々ズレのあることを念頭におき,また棘突起,椎弓及び椎体は頸椎,腰椎ではほぼ同高位であるが,胸椎ことにその上中部では棘突起頂と椎弓椎体との問にやはりズレがあり,第5胸椎附近ではほぼ1椎体ズレることを忘れてはならない.なおミエログラフィー施行時,腫瘍の占在高位に相当する棘突起皮膚上に,正中部を離れてメスで軽く傷をつけておき,手術時高位を決める道標としておく.
 椎骨の単純レ線検査も重要で,椎間腔の拡大,椎体縁の変形等骨破壊の有無のほか,腫瘍による異常陰影(例えばparavertebral shadow)にも注意する,これら所見は有力な診断の根拠となるばかりでなく,手術操作の決定や術後処置とも結びつく.ことに頸椎手術の場合,骨破壊が大きく椎弓切除後脊柱の支持が困難となると思われる症例には,固定対策をたて,或は前もってギプス牀やマジックベット等を準備し,窮屈な体位に慣らして後手術を行う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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