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総説
悪性脳腫瘍とcyclic AMP
著者: 永井政勝1 寺岡暉1 降旗俊明2 野村和弘2 松谷雅生2
所属機関: 1独協医科大学脳神経外科 2東京大学脳神経外科
ページ範囲:P.511 - P.519
文献購入ページに移動cyclic AMP(cAMP)が中枢神経系に於て占める役割の大きいことは従来よりよく知られていたが,近年,各方面からの研究が著しく進歩して来たことは注目に値する.cAMPを発見したSutherlandおよび彼の共同研究者達がすでに1962年に,この物質に関与する酵素—adenyl cyclaseと,phosphodiesteraseが,脳においてずばぬけて高い活性をもっていることを報告したが4,44),その後,cAMPそのものの定量法の発達につれて,中枢神経系の各部位におけるcAMPレベルについても報告が相次いだ6,7,40).同時にこのようなcAMPの脳内レベルに,norepinephrineやhistamineのような活性アミンが密接に関与していることが明らかにされ18,19,41),これを媒介として神経生理学的研究へも進展するに至ったのである20,42).このような経過を通覧するためには,さらに2冊のmonograph11,12)を参照していただきたい.またわが国でもcAMPに関する特集雑誌が出され,垣内,宮本らの,脳とcAMPに関する論文が参考となる46,52),なお,現在までに得られたcAMPの作用機序と代謝に関する総括的なシエマをFig.1に掲げておく.
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