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「慢性進行性外眼筋麻痺」の多彩な臨床像と,その外眼筋の形態学的特徴について
著者: 向野和雄1
所属機関: 1北里大学眼科
ページ範囲:P.529 - P.535
文献購入ページに移動眼球運動障害は各種病変を知る手掛りの1つとして眼科領域のみでなく,脳神経外科的にも極めて重要である.眼科領域でまとめられた最近の日本における統計1,2)をみると,後者を表1で示したが,部位別(種類別)の頻度では核・核下性神経原性障害が約50%を占め,重症筋無力症が約20%となっている.それに比し核上性麻痺はその頻度が少ないが,それは眼科医の宣場よりの統計であるため遭遇する機会が少ないためと考えられる.本稿では脳神経外科的に日頃馴みの少ないと考えられる外眼筋疾患の中で,1つのトピックスである「慢性に進行する眼瞼下垂,眼球運動障害」をその臨床的特徴とする"慢性進行性外眼筋麻痺chronic progressive external ophthalmoplegia(CPEOと略)"と称される疾患群について述べる.表1では一応筋原性障害に含まれる.
CPEOは1868年von Graefeの記載以来その原因が不明なまま,神経原性(眼球運動神経核異常その他),筋原性(外眼筋原発のジストロフィー),両者混在,代謝異常,その他などという症例が色々と報告されているが,1900年の初めは主として,眼球運動神経核の異常と考えられたためにprogressive nuclear ophthalmoplegiaと呼ばれていた.
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