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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科2巻7号

1974年08月発行

文献概要

研究

小児の急性硬膜下血腫—その臨床的特徴

著者: 早川勲1 杉山弘行1 柳橋万之1 石井喬1 橋本邦雄1 土田富穂1 水谷弘1

所属機関: 1都立墨東病院脳神経外科

ページ範囲:P.543 - P.551

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Ⅰ.はじめに
 成人の急性頭蓋内血腫のうち,急性硬膜下血腫の治療成績は極めて悪く,悲観的である.他方,小児においては,急性硬膜下血腫は,外傷性頭蓋内血腫のうちの多数を占め,特に2歳未満児にあっては珍らしくないにもかかわらず,この血腫が臨床的にとりあげられ,討論されたものは少い.しかし,われわれは,小児期の本血腫が成人のそれと同一の範疇に入れるべきか否かに疑問を感じており,さきの小児の硬膜外血腫とは別に,今回は小児の急性硬膜下血腫をとりあげ,いささかの検討を加えてみたいと思う.
 Ingraham & Matson10)によれば,乳児期に治療を要した硬膜下出血の1/4以上が分娩外傷によるものであり,又,Craig1)は,頭蓋内出血が死因となった126例の新生児の49%が硬膜下出血であったことを報告している.この様に,すでに分娩障害の結果として硬膜下出血—血腫は臨床上重要な意味をもっている.しかし,残念ながら本邦でこの問題を追求したものは皆無であり,新生児期の硬膜下出血が幸い致命的にいたらなかったものが,後に,乳児硬膜下血腫或は水腫Infantile subdural hematoma;subdural effusionとして第2の問題点を提起するにとどまっている.以上の如き,分娩障害による急性血腫はわれわれ自身手にし得たものは,すでに報告した1例6)にすぎず,したがって,今回の検討は分娩障害としての急性硬膜下血腫とは別に,出生後の外傷による急性硬膜下血腫に限定することとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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