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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科2巻9号

1974年09月発行

文献概要

総説

頭蓋内圧亢進

著者: 岩田金治郎1

所属機関: 1愛知医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.583 - P.590

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Ⅰ.はじめに
 圧の亢進した頭蓋内では,2つの病態がおこる.即ち1)脳循環障害11,23,31,34,43,56,73)と,2)脳の偏位21,22,60,69)である.この頭蓋内圧亢進の基本的な考え方は,今世紀の初頭CushingのMutter Lecturei6)の頃とは,余り変わっていない.彼は,その後文献上では,3徴候(血圧上昇,徐脈,呼吸異常)の提唱者として知られているが,当時,Kocher—高度の頭蓋内圧亢進が血圧上昇を伴う事を指摘した—の下で頭蓋内圧の研究に従事し,Intracranial Tensionを論ずるのに,Local Compression,General Compressionを区別し,「Local Compression(腫瘍や膿瘍)では,頭蓋内圧の分布は一様ではない.従って,脳の血行障害も均一性のものではなく,Alexander Monroの脳非圧縮説を考えあわせると,脳腫瘍の近傍では,脳血管容積が代償性に減少するのだ」という.
 又,「General Compressionは,外傷性脳浮腫や脳膜炎の際おこり,脳脊髄液腔を介して圧の分布が均等である.頭蓋内圧が上昇し,動脈血圧に近づくと血圧も上昇する,血圧上昇は,延髄をCocainizationすると阻止できる.局所病変が延髄の近くにあればよく見られ,又,遠隔でも,それに圧影響を及ぼす様な場合には血圧の上昇が現われる.これは徐脈,血圧の波動,異常呼吸の有無に関係なく脳圧亢進が危険値に達した事の警告である」という.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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