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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科2巻9号

1974年09月発行

文献概要

研究

後床突起から発生した骨軟骨腫の組織化学ならびに電子顕微鏡による研究

著者: 伊藤梅男1 橋本邦雄1 稲葉穰1

所属機関: 1東京医科歯科大学脳神経外科

ページ範囲:P.601 - P.611

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Ⅰ.緒論
 頭蓋内に発生する軟骨腫又は骨軟骨腫は稀な疾患である.その多くは頭蓋穹隆部から生じ26),頭蓋底から生じた報告は極めて稀で,世界でも70症例を越えていない2,14,24,30),これらの報告のうち,剖検が行なわれた症例は著しく少ないため,腫瘍の組織発生に関する充分な解析は試みられておらず,単に組織学的特徴に従って軟骨腫,骨軟骨腫ならびに軟骨肉腫等と分類されているのみで,腫瘍の組織発生を論ずるには不充分な点が多い.Kleinsasser16)以来,頭蓋底軟骨腫ならびに骨軟骨腫はともに頭蓋底部の軟骨性骨結合部,特に破裂孔周辺部の遺残軟骨から発生する軟骨腫で,腫瘍内にしばしば認められる骨成分は軟骨腫内変性部に2次的に生じた化骨であると推論されている.
 我々はトルコ鞍後床突起中央部から明らかに骨軟骨性外骨腫として発生した骨軟骨腫の1剖検症例を経験した.この部分に位置した軟骨腫あるいは骨軟骨腫は現在までに3例報告されているにすぎず18,25,28),その3報告とも発生部位の骨と腫瘍との関係を病理解剖学的に明らかにしていない.我々は本腫瘍を解剖学的ならびに組織学的に検索して,その形態学的特徴から本腫瘍を骨格で一般にみられるosteochondromaに類似したものと考えた11)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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