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研究
Nitrosamine投与による実験的脳腫瘍のLysosome酵素の研究
著者: 阿部弘1
所属機関: 1オハイオ州立大学神経科
ページ範囲:P.629 - P.636
文献購入ページに移動I.緒言
実験的脳腫瘍の作成は,1941年Zimmermann32)によるmethylcholanthreneの脳内注入にはじまり,組織培養した腫瘍細胞の脳内移植16),さらにvirusの脳内注入4)など種々の報告があるが,1965年Druckrey10)によってnitrosamineの静脈内投与による作成が報告されて以来,世界各国で好んでこの方法が用いられてきている14,26,27).これは脳に直接侵襲を加えずに作成することが可能なことから,自然発生する脳腫瘍に極めて類似した条件を有し,生化学的及び病理学的研究のいずれにも適し,脳腫瘍発生の解明の手がかりをつかめる可能性をも持ち,すぐれた方法といえる.
近年,脳腫瘍の生化学的研究の進歩には目ざましいものがあり,種々の生化学的特徴が知られてきている.しかしながら,最近注目をあびているIysosome酵素の脳腫瘍に於ける動態に関しては,わずかにAllen1),Lehrer21)等の報告がみられるのみである.神経系以外の臓器の悪性腫瘍組織中のlysosome酵素の上昇は既に種々の報告があるが,神経系腫瘍なかでも実験的脳腫瘍に於けるlysosome酵素の生化学的測定の行なわれた研究は未だ報告されていない.
実験的脳腫瘍の作成は,1941年Zimmermann32)によるmethylcholanthreneの脳内注入にはじまり,組織培養した腫瘍細胞の脳内移植16),さらにvirusの脳内注入4)など種々の報告があるが,1965年Druckrey10)によってnitrosamineの静脈内投与による作成が報告されて以来,世界各国で好んでこの方法が用いられてきている14,26,27).これは脳に直接侵襲を加えずに作成することが可能なことから,自然発生する脳腫瘍に極めて類似した条件を有し,生化学的及び病理学的研究のいずれにも適し,脳腫瘍発生の解明の手がかりをつかめる可能性をも持ち,すぐれた方法といえる.
近年,脳腫瘍の生化学的研究の進歩には目ざましいものがあり,種々の生化学的特徴が知られてきている.しかしながら,最近注目をあびているIysosome酵素の脳腫瘍に於ける動態に関しては,わずかにAllen1),Lehrer21)等の報告がみられるのみである.神経系以外の臓器の悪性腫瘍組織中のlysosome酵素の上昇は既に種々の報告があるが,神経系腫瘍なかでも実験的脳腫瘍に於けるlysosome酵素の生化学的測定の行なわれた研究は未だ報告されていない.
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