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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科20巻11号

1992年11月発行

文献概要

総説

脳腫瘍と血液脳関門

著者: 柴田尚武1

所属機関: 1長崎大学脳神経外科

ページ範囲:P.1135 - P.1147

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I.はじめに
 脳の正常毛細血管は特別の場所を除いて,内皮細胞間は堅い結合tight junctionで接着しており,内皮自体は無窓性non-fenestratedであり,のみこみ小胞pinocyto—tic vesicleが極めて少なく,高分子物質を血管外に通過させない機能を持ち,血液脳関門blood-brain barrier(BBB)といわれている.正常脳血管が脳腫瘍を潅漑する血管に変化していく過程で,これらの特性は失われていくのであろうか.
 また,脳腫瘍のBBBすなわち血管透過性を端的に表現するcomputed tomographyやmagnetic resonance imagingの所見では,基本的にはglial tumorsでは浮腫は高度であるが,造影効果は軽度であり,一方,non—glial tumorsでは浮腫は軽度であるが,造影効果は高度であるという違いを認める.また,metastatic brain tumorsでは,浮腫,造影効果ともに高度である.
 そこでこれら3群のヒト脳腫瘍血管の超微形態を超薄切片法に加え,凍結割断レプリカ法を用いて透過電顕より検索し,血管透過性の面から論じてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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